瀬戸内海しまなみ街道のひとつ、因島の気候は温暖で雪はめったに降りません。0℃以下になるのも年に数回とか。でも、冬になるとやはり海風や山からの吹き降ろす風が、身に堪えます。
50代後半のご夫婦が、定年後を目前にして「暖かく快適な家」を実現する計画を実行したら、とても「良いかげん」の古材と新しい機能や設備が組み合わさって、温故知新の住まいを実現しました。
玄関へ一歩踏み入った印象は、民家風和のたたずまい。でも、襖を開けてLDKへ入ると、「あっ、と驚くようなヨーロッパ風の洋問の雰囲気」。この意外性が、O夫人には「とても気に入っている点」です。
この家は、かつて船主だったご主人のお祝父様が、九州の石炭を大阪へ運ぶ途中、我が家づくりのために紀州の港に立ち寄り、熊野の枚や杉を運んで建てたという、思い入れの探い古民家です。
壊すことも検討されましたが、「本物の素材を生かす」魅力に、家族全員の意見が一致。床・壁・天井に断熱材を施工し、断熱改修部分のQ値は2.9W/m2・K(コーナー札幌製省エネソフト)。
「温暖な地域で日当たりも良いため、充分な暖かさが得られると思います」(同社長)。セントラル計画換気量0.5回/時(アルデエンジニアリング)と、断熱計画換気の省エネ施工です。
「不快な室内上下の温度差が無く空気がさわやか。古い家につきまとう室内得有の臭いが無くをりました」(O夫人)と、いままでの住まいではあり得ない空気質の変化を評価されていました。